2024年08月12日(月)
帰函
一夜明けて本日帰函(函館へ帰る)日。飛行機は夕方5時15分羽田発函館行きなのだが、東北あたりに台風がきているらしい。東京の空は太陽ギラギラで台風の気配はみじんも感じないのでピンとこないのだが、もしかすると欠航なんてことがあるかも?と思って、早めに空港まで行って待機することにして午後1時ころ羽田へ向う電車に乗ったのだが途中で気が変わってそのまま小岩へ向かった。
長年過ごした小岩の町。けして好きな土地ではなかったが思い出は多い。毎日走った江戸川土手をぶらぶらするもよかろう。そうだ!それなら市川まで行って市川から江戸川土手を歩いてみるのも一考。市川にはかつてバイトをした蕎麦屋がある。8年ぶりに寄ってみようと思い立った。
古本屋時代、函館へ帰ることになるまでの6年間くらいをその蕎麦屋でも働いていた。古本屋だけでは食っていけなくなっていたから。早朝の仕込みからお昼前までの6時間くらいのシフトに入っていた。思えばあの頃はよく働いたな。睡眠時間は3時間くらいだったが慣れると3時間睡眠でも平気だった。もっとも古本屋のカウンターでいつもこっくりこっくりしていたけど。
あれからもう8年ともなるとさすがに当時一緒に働いていたスタッフたちは誰もいないだろうなと思いつつ店に立ち寄った。市川駅構内にある駅そば。店構えは変わっていない。うむ懐かしい。
さて何を食おうか。ここは無難にかき揚げ天ぷらそばにしとくか。かつて私もここでかき揚げを毎日揚げていた。午前中だけで100個くらい揚げていた思い出のかき揚げ。券売機で冷やしかき揚げそばをチョイス。「番号でお呼びしますので券を持ってお待ちください」おお、こんなシステムに変わったのか。券を購入した時点で厨房にオーダーが届いているようだ。こりゃ中の人は楽でいいね。スタッフ目線で見てしまうボク。
厨房に目をやると女性スタッフが2名いたがマスクをしているので顔はよくわからない。なんとなく目元はかつて一緒に働いていた当時新入りだった女の子に似ているような気もするがあれから8年だしもう結構なおばさんになっているはず。違うかもなと思いつつ出来上がったそばを受け取るときにちらっと名札を見るとやはりその人だった。
「かき揚げ天ぷらそばお待たせしましたー」
「大川さん(仮名)、浅村です」
「ですよねー。なんか似てるなーと思ってたんですけど、違ったらなんなので黙ってたんです」
ってもう券売機で券を買ってる時点で気づかれてたのね。8年経っても一目で気づいてもらえて光栄です。とは言えその人とはシフトの時間がずれていていつも入れ違いでちょっと顔を合わせる程度の付き合いだったのであんまり親しくはなかった。一緒にシフトに入っていたおばちゃんだったら話も弾んだと思うのだが、そういうわけで、かき揚げそばを食べ終わったらごちそうさまとだけ挨拶をして店を後にした。
かき揚げは当時と変わらぬ味だった。うまくもなくまずくもなく。普通。その普通をずっとキープできているのがすごいところではある。
その足で江戸川土手を歩こうかと思ったのだが時間が無くなってきたのでそのまま羽田へ向かった。飛行機は30分遅れくらいで無事に離陸。途中少し揺れたが無事に函館到着。さっきまでの灼熱40度の世界が嘘のように涼しい。小雨降る24度の函館です。