2025年11月26日(水)
中古車
「これこれ。これいい車だよ。うちの代車として使ってるんだけど、みんな欲しがるんだけど売らない。きのうも断ったんだけど、課長の頼みじゃしょうがない。これ譲りますよ。いい車だよ。私が言うんだから間違いない!」
課長というのは私の友人のことだ。会社で付き合いのある車屋に頼んでくれていて今日はその車を見にきた。
「おお、いいですねえ」とは言ったものの内心「ん?」って感じ。思っていたのとずいぶんイメージが違う。ダイハツアトレーの掘り出し物と聞いていて、事前にネットでアトレーの容姿を確認してワクワクしていたのだが、目の前に現れたアトレーはなんだかくたびれた貨物車だった。物を運ぶにはすごくよさそうだけど、ぼく荷物も積める乗用車が欲しかったんだよね。タントとかN-BOXみたいなやつ。アトレーには乗用と貨物用とがあってこれは貨物用。うーむ。
「ちょっと乗ってごらん。はいはいこれ鍵ね」勝手にその辺を試乗してきてもいいのかと思ったら車屋の社長も助手席に乗り込んできて「さあどうぞ。出して出して。いいでしょ。これ乗りやすいよ。みんな欲しがるんだけど売らないの。本当は私も手放したくないんだけど、課長に言われちゃねえ。なんとかしてあげなくちゃってなるわけ。いいでしょうこれ」「あーいいですねえ」そうぐいぐいこられちゃもういいですねとしか言えないじゃん。
試乗は早々に切り上げて事務所に戻ってくると「30でどう?」「えー30でいいんですか?」確かにこの状態のものが30万円は破格だと思う。車検もほぼ丸々残っていて今乗っている車の下取りもしてくれるという。名義変更さえ終わればすぐに乗れる状態だ。住民票を持ってくればすぐに手続きしてくれるということで、じゃあ2,3日中に持ってきます。と返事をしてしまった。
うーむ。もやもやもや。30万であの車が手に入るのは非常に魅力的だ。だがしかし、貨物だもんなー。古本屋時代ならよだれが出ただろうけど、今はこれじゃないんだよね。もやもやくよくよ。
「どーするべ。あの車30万じゃ普通手に入んないけどなあ。うーむ。」
「まあわかる。そこだよな。俺には買えともやめれとも言えないけど、結局乗るのはおめーなんだから、値段で妥協するか、我慢できねーか、そもそも30万じゃ普通まともな車は買えないからな」
とりあえず予算は50万と伝えてあったのだがそれが30で抑えられるのは魅力的ではある。でもなー。今乗ってるヴィッツと比べても乗り心地は半減以下だもんな。かと言って今のヴィッツはもう修理できないほど劣化が進んでいる。修理して乗るという選択肢はないのだ。
「よし予算を80まで上げてもう少し探してみるかな。んだ!そうしよう!それまで今のヴィッツに乗ってるで。怖いけど。車検もまだ1年残ってるし。でもあの社長にはなんて言う?これに決めますって言ってきちゃったんだで?」
「なーんも、すったらこと気にすることねー。俺の方から断っといてやる」
あのアトレーを買うのはやめると決めたら気持ちがスーッとした。これはやめて正解だったということだろう。あぶないあぶない。もっと慎重にいこう。