No.5418の記事
2020年07月19日(日)   なごみの湯


ランニングをしていると、やたらエンジンの回る音はしているのにさっぱり進まないミニバイクが背後からやってきた。まるで5段変速の一番大きなギアでシャカシャカシャカシャカペダルだけは漕いでいるのにさっぱり進まない自転車のようだ。
 
追いついてきたところでうるせえなあと思いながらそちらへ顔を向けると、乗っていたのは見た目はけっこうなおじさんだった。でも私よりは5つ6つ若そうな気もする。って十分におじさんか。とにかくそっちへ顔を向けると目が合ってその人が声をかけてきた。
 
「すいませーん。この辺でなごみの湯って、どこにあんの?」
「わからん」
「あ、わかんない?あそ」
 
なんだこいつ。いきなりタメグチかよ。年が上も下もない。今初めて会った人やぞ。しかもそっちから人にものを訊ねてきたんだろが。そんな聞き方されたんじゃ知ってても教えてやらんわ。まあ本当に知らなかったんだけど。
 
「口のきき方しってんのか?」
と返したんだけれど、それは聞こえてなかったみたい。もしかしたら聞こえてないふりをしてただけかもしれないけど、そいつはやかましいエンジン音をさせながらそのまま追い抜いて行った。あー腹立つ。コケろボケ。何がなごみの湯じゃい。地獄風呂でも入っとけ。